main story
三、
「妖怪とか怪談の存在を、もっと多くの人に信じてもらう……っていうなら、直接妖怪と交流出来れば一番いいんだけどなぁ……」
「そういうわけにもいかないものね。いろんな妖怪さんがいるけれど、人間に友好的な方ばかりじゃないし、それに……この間みたいな事件が起こったらって、不安に思われる人間の方もおられるだろうし……ごめんね。」
「……あれは!みつは何も悪くないし、ちゃんと解決したことだろ!……でもまぁ、確かにそういう人がいてもおかしくないよなあ……」
昔から、人間の住む世界と妖怪の住む「異界」はあまり交わってきませんでした。ですから、人間は遠い異界で暮らす妖怪たちとは接点がなかったのです。
そのせいか、未だに人間と出会うことを嫌がる妖怪も多くいます。皆さんが知っているように、中には人間をおどかして楽しむ妖怪も居ますが、その数は昔ほどでは無くなってしまいました。
「僕たちの存在が、皆にあやかしの存在を信じてもらう為になってはいるのかも知れないけど……やっぱり、神使だから、っていうのもあるじゃない。」
「うん……やっぱり、普段から異界で暮らしてるような、「普通の妖怪」が人間との関りを持ってくれたらいいのに。」
「でも、そんな方なかなか見つからないよね……」
神使狐である二匹は、神使としての修行のためにずっと学校に通っていました。そのため、妖狐以外の知り合いはあまりいなかったのです。
「何とかして探さないとだね。」
「あー、まぁ、居ないこともないかもだけど……」
「……え?タマ、心当たりあるの?」
「いやぁ……うん……」
「ほんとう?……なにか心配なことでもあるの?」
白珠玉はなんだか難しい顔をしています。少しの間うつむいた後、彼はゆっくりと口を開きました。
「実は、おれの、幼馴染がいまこの辺に住んでてさ……」
「でも、喧嘩別れみたいになってから、一度も会ってないんだ」